- 宅建士はどんな仕事をするの?
- 宅建を持ってたらいいことある?
- 宅建試験はどんな試験?
「宅建」について、不動産業界の資格というイメージはできても具体的な内容はわからない、という人は多いのではないでしょうか。
宅建に興味がある、宅建の試験を受けてみたい、と考えているなら、どんな資格なのか事前に詳しく知っておきたいですよね。
そこでこの記事では、宅建がどんな試験なのか、いくつかの視点からわかりやすく解説します。
- 宅建士の仕事内容
- 宅建取得のメリット
- 宅建の資格が活かせる業界
- 宅建試験の概要
この記事を読めば、宅建についてのぼんやりしたイメージをクリアにできますよ。
宅建が少しでも気になっている人にとってオススメの内容です。
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宅建とはどんな資格?
宅建士の正式名称は「宅地建物取引士」。
不動産取引のスペシャリストを指す国家資格です。
土地や建物の売買をしたり、賃貸物件の仲介などが主な仕事になります。
不動産取引は高額であるのに、一般の人は専門的な知識も経験もない人がほとんどですよね。
そんな弱い立場である一般の人が損をすることがないようにサポートするのが宅建士の役割。
不動産会社との間に入って、公正な取引ができるよう導きます。
そんな宅建士になるための試験が、宅地建物取引士試験。毎年20万人超が受験する人気の資格です。
宅建士にしかできない3つの独占業務
不動産取引の際に必要な業務のうち、宅建士にしかできない独占業務があります。
宅建士の3つの独占業務といわれるものです。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書への記名
- 契約書への記名
たとえトップ営業マンであっても宅建士でなければこの3つの業務はできません。
この独占業務があるため、宅建士は不動産業界から重宝される存在なんですね。
重要事項の説明
不動産を購入する買主や賃貸物件を借りようとする借主=お客様に対し、契約に関する重要なポイントを説明します。
- 建物を建てる際の制限について
- 登記の状態
- 災害区域に該当しないか
- 契約解除について
など、宅地・建物についてだけではなく、取引条件にいたるまでの幅広い内容です。
この重要事項の説明は必ず契約の前にしなければいけません。
契約締結前に大事な情報をお客様に伝えることによって、公正な取引が行われます。
重要事項説明書への記名
口頭で説明した重要事項は、書面での交付が必要です。
家を購入した経験がある人なら必ず受け取っているはずで、分厚くて重厚な雰囲気の説明書です。
書面の作成は宅建士でなくてもできるのですが、記名は宅建士でなければできません。
重要事項をきちんと伝えたという証明になるため、契約後のトラブル防止にもつながります。
契約書への記名
重要事項説明でお客様が納得したら契約へとすすみます。
そして契約が締結すれば、取引の内容を書面化します。これが契約書(37条書面)です。
この契約書にも宅建士の記名が必要。
記名することによって、内容に誤りがなく、双方が納得した契約であるという証明になります。
以前は重要事項説明・契約書ともに、記名とともに押印が必要でしたが、2022年より押印は不要となりました。
また、書面はデジタルでの交付も可能です。
宅建士になるメリット
実際に宅建士になるとどんなメリットがあるのでしょうか。
一般的なメリットを3つを紹介します。
- 就職・転職に有利
- 年収アップが期待できる
- 独立や副業に役立つ
就職・転職に有利
宅建士になると不動産業界での就職や転職に有利になります。
理由はこちらの2つ。
- 宅建士にしかできない独占業務があるから
- 5人に1人以上の割合で宅建士の設置義務があるから
前項で紹介したように、不動産業務のなかには宅建士にしかできない独占業務があります。
そのため、不動産屋にとって宅建士は必要不可欠な存在です。
また、不動産業を営むには、事務所ごとに従業員5人に1人以上の割合で専任の宅建士の設置義務があります。
このような理由から、宅建士は不動産業者から常に需要があり、求人が尽きることはありません。
宅建士というだけで大きなアピールポイントとなります。
収入アップが期待できる
宅建士として不動産会社などで勤務すると、資格手当が支給される場合が多いです。
業務内容や企業によって金額は異なりますが、平均は1~3万円ほど。
年間にすると10万円以上の収入アップです。
この手当は営業職に限らず、事務職でも、パート勤務でも支給されることがあります。
また、宅建資格保持が昇進の条件としている場合も多く、キャリアアップにつながります。
独立や副業に役立つ
宅建士であれば独立開業も可能です。
自分自身が専任の宅建士となれるため、わざわざ宅建士を雇う必要はありません。
もちろん経験は不可欠ですが、自身で事業が可能というのは夢が広がりますよね。
また、宅建士として週末だけスポット的に勤務できたり、webライターや不動産投資などの副業にも役立ちます。
webライターや不動産投資に宅建士の資格は必要ありませんが、宅建の知識は確実にプラスになるし、失敗のリスクも減らせます。
宅建資格を活かせる業界
宅建の資格を持っているとどんな業界で活躍できるのでしょうか。
需要のある業界を4つ紹介します。
- 不動産業界
- 建設業界
- 金融業界
- 保険業界
不動産業界
宅建の資格を最も活かせるのはやはり不動産業界です。
前述したように、
不動産業務を行うには従業員5人に1人以上の割合で宅建士を設置する義務があり、宅建資格保持者は不動産業界から歓迎される存在です。
宅建の資格がなくても営業活動はできますが、資格保持者である方がお客様からの信頼性は高まるため、宅建の資格取得を推奨している会社がほとんどです。
建設業界
建物を建てるのが主な業務である建設業ですが、自社で建てた物件を販売するには宅建士が必要になります。
販売を不動産会社に委託するより自社に宅建士を設置したほうがコストを抑えられるため、建設から販売までをトータルで行うことは非常にメリットが高いです。
そのため建設業界では不動産部門を設けて物件販売を強化する場合も多く、宅建士の需要も高いです。
金融業界
金融業界では不動産に関する業務も多く、宅建の資格保持者が重宝されます。
不動産の担保価値を評価して融資の判断をする際や、住宅ローンの提案の際には不動産に関する適切な知識が求められます。
保険業界
保険業界では、お客様の人生設計プランに組み込んで保険の提案をする場合が多いです。
生活の基盤となる「住まい」は人生設計においては土台となる部分であり、宅建資格があれば総合的に提案ができ、信頼も得やすいです。
そのため、保険業界では欠かせないFPの資格と宅建は非常に相性がよく、ダブルライセンス所持者も多いです。
宅建士に求められるスキル
宅建士として仕事をするならどんなスキルが求められるのでしょうか。
主に必要なスキルはこちらの3つです。
- コミュニケーション能力
- 慎重に仕事を進める能力
- 問題解決能力
コミュニケーション能力
宅建士は不動産を売りたい人と買いたい人・貸したい人と借りたい人の間に立って契約を成立させるのが主な仕事です。
コミュニケーションなくして両者の関係をつなぐことはできません。
専門知識のない一般のお客様に対しては法律用語をかみ砕いて説明する能力が求められるし、経営者や地主に対しては会話を通して正確性をアピールしたいところ。
営業職だけでなく事務職であっても同じです。
電話や来店によって物件の問い合わせがあれば、お客様の希望や条件を伺う一時対応をすることもあり、会社の顔として柔軟なコミュニケーション力が求められます。
このように、宅建士は幅広いお客様からの信頼を得るためにコミュニケーション能力が必然となります。
慎重に仕事を進める能力
不動産取引は高額なケースが多いため、ひとつひとつの業務を慎重・丁寧に進めなければいけません。
少しのミスが大きなトラブルに発展する可能性もあるからです。
特に宅建士の独占業務である重要事項の説明や契約書へ記名の際には、事前に調査をして誤りがないかを確認する必要があります。
人が生きていく上での土台となる不動産を扱うわけですから、慎重さが求められるのは当然ともいえますね。
問題解決能力
不動産取引においては金銭や物件に関する状態など、トラブルの内容は多岐にわたります。
幅広いトラブルに対して、売り手と買い手の間に立って問題を解決するのも宅建士の仕事の一部です。
当事者に寄り添って話を聞いたり、交渉することも必要です。
重圧に感じるかもしれませんが、不動産取引を解決できるほどの能力は非常に価値のあるスキルとなり、宅建士としての評価も高まります。
宅建試験の概要
宅建士になるための宅建試験はどんな試験なのか、基本的な情報をみていきましょう。
宅建試験の概要 | |
実施団体 | 一般財団法人 不動産適正取引推進機構 |
試験日 | 10月の第3日曜日 |
試験会場 | 全国各地 |
受験資格 | 日本国内に居住であれば誰でも可 |
受験料 | 8,200円 |
受験者数 | 約20万人 |
合格率 | 15~17% |
試験の方法 | 50問・四肢択一式による筆記試験 (登録講習修了者は45問) |
試験範囲 | 権利関係 14問 法令上の制限 8問 税その他 3問 宅建業法 20問 免除科目 5問 |
宅建試験は1年に1度しか実施されないのが特徴的。
そのため、試験日に万全の状態となるようにスケジューリングしたり、体調管理も大事です。
合格率は15~17%と決して高くはないので、しっかり勉強・対策しないと合格できません。
ただ、知名度のある国家資格であるにもかかわらず、受験資格に制限がないのは魅力的。
やる気さえあれば誰でも挑戦できる資格です。
宅建士になるには登録が必要
宅建試験に合格したら宅建士を名乗れるわけではなく、登録が必要です。
宅建合格~宅建士になるまでの流れを紹介しますね。
合格の有効期間は一生
実務経験が2年未満の場合のみ必要
- 教材による自宅学習
- スクーリング演習
- 修了試験
受験地の都道府県知事に登録
登録の有効期間は一生
合格発表から1年以上経過している場合のみ必要
取引士証の有効期間は5年
実務経験がなく、試験合格後に宅建士として働きたい人は、合格後すぐに登録実務講習の予約をしましょう。
履歴書に「宅地建物取引士取得」と書けるのは、取引士証が交付されてからです。
- 試験に合格しただけなら「宅地建物取引士試験合格」
- 資格登録が完了していたら「宅地建物取引士登録」
と書きます。
宅建と相性のいい資格
すでに持っているなら宅建と相性のいい資格、宅建を取得した後にオススメの資格を紹介しますね。
- 賃貸不動産経営管理士
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- 行政書士
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士は2021年に国家資格に認定され、非常に注目度の高い資格です。
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」に基づき、賃貸不動産の管理や運営を担うのが主な仕事。
具体的には入居者間のトラブル対応、設備の維持・管理、入居者募集の提案、などです。
宅建の資格に加えて賃貸不動産経営管理士の資格を取得すれば、より専門的な知識を有する人材として、不動産業界での活躍の幅が広がります。
試験内容が宅建の内容と重なる部分が多く、同じ年にダブル受験する人が増加しています。
ファイナンシャルプランナー(FP)
FPとは、お客様へライフプランの設計・提案を行うお金に関するプロの資格です。
税金、住宅ローン、不動産、教育資金、老後など、人生のターニングポイントで直面するお金の悩みをサポートし、解決へと導きます。
このような内容から、保険の営業マンに取得が推奨されている資格です。
住宅購入は一般的に一生で最も高い買い物であり、ライフプランニングには欠かせません。
そのため、宅建とFPの両方の知識があれば、より総合的な提案が可能になります。
賃貸不動産経営管理士と同じく、FPの試験範囲も宅建と共通している分野があり(税金・相続など)、宅建の知識があれば挑戦しやすい資格です。
行政書士
宅建は一般的には難易度の高い資格ですが、法律系のなかでは取りやすい資格と位置づけされています。
そのため、宅建は法律系の資格の登竜門ともいわれ、合格後は更なる上位資格を目指す人もいます。
宅建取得後のステップアップとしておすすめなのが行政書士です。
行政書士は、個人や企業に代わって官公署に提出する書類を作成・申告をしたり、アドバイスをします。
将来は独立・開業も目指せる人気の国家資格です。
宅建よりは難易度も高く、勉強時間は800時間~1000時間は必要ですが、がんばれば独学でも合格もできる資格です。
宅建士に向いている人
宅建士はどんな人に向いているのでしょうか。
こちらにひとつでも当てはまれば、向いているといえます。
- 不動産に興味がある人
- 接客が好きな人
- 仕事にやりがいを求める人
まず不動産が好き・興味がある人にとっては、宅建士は確実に向いているといえます。
興味があれば仕事に楽しさを見いだせるし、モチベーションも高まりますよね。
宅建士の仕事はお客様対応が基本となるため、もくもくと作業するよりも接客が好きな人にも向いています。
また、宅建士は不動産取引という重要な取引に立ち会いますので、仕事を通してやりがいや充実感も感じられます。
まとめ
宅建はどんな資格なのか、いくつかの視点から解説してきました。
簡単にまとめるとこちらです。
- 宅建は不動産取引のスペシャリストで、毎年20万人以上が受験する人気の資格
- 宅建士にしかできない独占業務があるからニーズが高い
- 不動産業界以外でも役に立つ
- 就職や転職に有利、将来は独立もできる
- 試験は簡単ではないけど誰でも挑戦できる
宅建は不動産業界だけに限らず、さまざまな分野で役立つ需要の高い資格です。
取得すれば長きにわたってメリットを感じられるオススメの資格です。
少しでも気になったらぜひ挑戦してみてくださいね。